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もう一つ重要な熱帯在来品種の特徴は、感光性が強過ぎるため、乾季の1〜2月に植えても、日が短くなる9〜10月になるまで花が咲かない。もし水さえあれば、乾期に稲を作れれば、太陽エネルギーが雨季よりも十分にあるのでより高い収量が期待できるのだが、余りにも日数がかかるので、結局、水もある雨季に作られてきたのである。
さらに、在来品種は日照の少い雨季に作られることもあり、収穫まで160〜180日を要するのが普通であった。こうした理由から、在来品種は一年に一作が一般であった。

 

2) 近代的品種の特徴と開発の経緯(3)
IRRIにおける研究の結果、稲の草型をよくすることにより太陽エネルギーの吸収効果が高まることが明らかとなった。つまり、穂が短くて太く、葉が日光を受け入れやすいよう直立的に上向きに立っており、分げつ力が強い草型に改良すれば、肥料を多投した場合それを能率よく活用して、太陽エネルギーを有効に吸収して稲を増収させることになる。
また、稲を乾季に植えれば太陽エネルギーが十分にあるので高収量が期待できるが、稲は水を多く必要とするので乾季に作るには灌漑施設が必要となる。ただし、在来品種のように感光性が強いと、日が短くなる9〜10月まで花が咲かないので、感光性の弱い品種にすることにより成育期間を100日余りに短くできれば、乾季のうちに収穫できるようになり、同じ水田で一年に2回、更には3回も収穫が可能となってくる可能性が強くなる。
以上のような育種目標に従ってIRRIでの新品種開発の研究が進められた結果、台湾の背の低い(矮性)品種の低脚鳥尖(Dee-Geowoo-Gen)が肥料反応性が高い優良育種材料であることが分り、それとインドネシアのPetaという品種の交配から、1966年にIR8という画期的な新品種の開発に成功したのであった。IR8は、在来品種の6割ほどの背丈しかなく、そのため半壊性品種(Semi-dwarfVareties)と呼ばれており、葉は直立して日光を多く吸収でき、莖が太いので肥料を多投しても倒伏せずに多くの穀粒を実らせることができるインディカ米である。IR8は

 

 

 

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